COLUMN
「綺麗だった実家がゴミ屋敷になってしまった」「片付けようとしても家族に強く拒否された」と家族の様子を心配していませんか?
ご近所の方やご家族、ご友人が心配するほどの状態になってしまったのには、単純に「片付けが苦手」というわけではなく、心の病気が関連している可能性もあります。
ゴミ屋敷は不潔というだけでなく、二次被害として、ダニや害虫などが病原菌を運ぶことで病気になってしまうこともあります。
また、地震や火災などが起きたときも避難しにくく、危険な状態です。
なるべく早急に、原因を見つけて対処する必要があります。
この記事では、ゴミ屋敷の原因になりうる病気についてご紹介。
治療法や、ゴミ屋敷から脱却する方法についても詳しく紹介します。
目次
ゴミ屋敷の原因となる可能性のある病気は、次の6つです。
・うつ病
・認知症
・強迫性障害
・ためこみ症
・統合失調症
・買い物依存症
順番に見ていきましょう。
まず1つ目は、うつ病です。
気力が湧かない状態がずっと続く精神障害のことで、主に、以下のような精神的症状と身体的症状の両方が現れます。
◆精神的な症状
・やる気が起きない
・必要以上に自分を強く責める
・落ち着かない
・喜び、楽しみを感じない
・気分が落ち込む
◆身体的な症状
・体がだるい
・疲れやすくなった
・食欲がなくなった
・眠れない(または、寝過ぎてしまう)
うつ病は、過度なストレスを受け続けることで発症すると言われています。
例えば、職場での人間関係の悩みやプライベートで大切なひとが亡くなったりなど、誰にでも起こりうるものです。
うつ病になると、やる気が起きなくなり、人によっては寝たきりになってしまうことも。
部屋の整理整頓や、ゴミ出しもできなくなることで、ゴミ屋敷化が進んでしまいます。
また、うつ病になると「セルフネグレクト」という状態になる恐れがあります。
セルフネグレクトは「自己放任」とも呼ばれ、自分自身のお世話をしなくなることを言います。
ゴミ出しができないだけでなく、お風呂に入らなくなったり、食事をしなくなったりなど「自分で自分を大切にしない」のが特徴です。
一人暮らしの場合、誰にも頼れないため、危険な状況に陥るリスクが高くなります。
2つ目は認知症です。
認知症になると、記憶力が低下したり、物事を判断する力が落ちてしまいます。
物忘れによって「ゴミを出したか」が分からなくなったり、ゴミをゴミだと認識できなくなることで、ゴミ屋敷化が進みます。
高齢者の場合、「ただの物忘れ」と思われることも多く、発見が遅れるケースも多いです。
加齢による物忘れと認知症なのか、早めに気づけるように両者に違いを知っておきましょう。
加齢による物忘れと認知症の違いは、忘れているのが「体験の一部か」「体験そのものか」というところです。
例:加齢による物忘れと認知症
・加齢:夜ご飯に何を食べたか忘れる(体験の一部の忘却)
・認知症:夜ご飯を食べたこと自体を忘れる(体験全体の忘却)
他にも、典型的な認知症の症状としては以下のようなものがあります。
・いつもゴミ出しがきちんとできていたのに、「出し方」そのものが分からなくなった
・置き忘れ、しまい忘れが増えて、常に探しものをしている
認知症は、決して高齢者だけの病気ではありません。
若い方でも若年性認知症を発症するケースもありますので、「若いから」と言って可能性を除外しないようにしてくださいね。
3つ目は、強迫性障害です。
精神障害の一つで、自分でも「大したことない」「大丈夫」と思っていても不安(強迫観念)が頭から消えず、何度も行動をくり返してしまいます(強迫行動)。
例えば、ゴミを捨てようと思っても「何か大事なものを捨ててるんじゃないか」と不安になったり、家にものがあふれているのに「今買わないと二度と手に入らないかもしれない」など、自分でも「しない方がいい」と分かってるのに、不安が拭えず、ものを捨てることができません。
こちらの記事で、強迫性障害とゴミ屋敷の関連について詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
強迫性障害とゴミ屋敷の関係とは?特徴や治療法、ゴミ屋敷からの脱却方法もご紹介
この強迫性障害に関連した病気として、「ためこみ症」という精神障害があります。
以前は、強迫性障害の一つとされていましたが、2013年に別の病気として定義されるようになりました。
一般的に使えそうにないものやガラクタとみなされるものを過剰に集めたり、部屋にため込むことで安心感を得ます。
その一方で、ものを捨てることに非常に苦しみを感じてしまうため、気づいたらゴミ屋敷になっていることも。
もし、ためこみの対象物が動物になると、動物の多頭飼いにつながるケースもあります。
発症する原因ははっきりしていないが、性格や幼少期の育ち方などが関係していると考えられています。
ただし、「ものをためるから」というだけで、ためこみ症と判断されるわけではありません。
ため込み行動だけを見ると、認知症や、病気ではなく発達障がいなど特性に関わることもあります。
「ためこみ行動」が気になったら、まずは精神科や心療内科に相談しましょう。
5つ目は統合失調症です。
心や考えがまとまりにくくなってしまう病気で、幻覚や妄想などの症状が現れます。
・幻覚:自分にしか見えないものが見える、周りには聞こえない悪口が聞こえるなどの幻聴
・明らかに事実ではないのに、嫌がらせを受けている(周りが否定しても受け入れられない)という被害妄想
統合失調症になったからと言って、ゴミ屋敷になるというわけではありません。
しかし、幻覚や妄想がひどくなることで外に出られなくなったり、ゴミを捨てられなくなることで、結果としてゴミ屋敷になってしまうケースがあります。
最後は買い物依存症です。
依存症の一つで、現実逃避の手段として買い物をくり返してしまいます。
「買い物をやめたい」と頭の中で思っていても、不安やつらい気持ちを買い物することでストレスを発散してしまう状態です。
気持ちを紛らわすことが目的になっているので、必要でないものも購入してしまいます。
さらに買ったものは捨てず、どんどん新しいものを購入するため、ゴミ屋敷化が進むことに。
症状としては、クレジットカードの限度額まで使っても買い物をやめられなかったり、家の中に使っていないものや、封を開けてないものがたくさん置いてあるというケースが多いです。
ゴミ屋敷を作る原因になりうる病気について紹介してきました。
実は病気以外にも、ゴミ屋敷を引き起こす原因になりうるものがあります。
・発達障がい:ADHD、自閉症スペクトラム
・性格:完璧主義、ストレスをためこみやすい、ものごとに執着しやすい
順番に見ていきましょう。
発達障がいとは、生まれつきの脳の働き方の違いによって、行動や情緒面に特徴が見られる状態のこと。
病気ではなく、あくまでも本人の特性なのですが、その特性によってゴミ屋敷になってしまうケースがあります。
ゴミ屋敷化につながる特性がある発達障害が、ADHDと自閉症スペクトラムです。
それぞれの特徴をまとめて見ました。
◆ADHD:多動性、衝動性、不注意が特徴
・うっかりゴミ出しを忘れてしまう
・集中力が切れやすく、家事を完了できない
・順序を立てて、物事を進めるのが苦手
◆自閉症スペクトラム:コミュニケーションが苦手、こだわりが強い、興味や活動内容が偏る
・特性が理解されにくいことからセルフネグレクトを引き起こしやすい
・愛着とこだわりが強く、ものをため込んでしまう
・自分のルールや、やり方に強くこだわる
ゴミ屋敷を作ってしまうのは、性格が原因となっていることもあります。
具体的には、次のような人はゴミ屋敷を作りやすい性格と言われています。
・完璧主義
・ストレスを抱え込みやすい
・物事に執着しやすい
完璧主義の人は、掃除も家事も全てしっかりしているイメージがあるかもしれませんね。
しかし、意外とゴミ屋敷に住んでいる人は、真面目で完璧主義の人が多いです。
完璧主義なゆえ、「ゴミの分別を完璧にしないと」「すぐに綺麗にしないと」と思っていて、完璧にできないと行動できず、ゴミ屋敷になってしまいます。
また、ストレスをため込みやすい人もゴミ屋敷を作りやすいと言われています。
忙しさのあまり、ゴミ出しに気が回らなくなったり、過労でセルフネグレクトになりやすくなるためです。
さらに、物事に執着しやすい人も注意が必要です。
執着心が強くなると、「手元にないと安心できない」と思ってしまいます。
「もったいないからとっておく」「いつか使うかもしれないから」という性質が強くなると、ためこみ症のリスクも高くなります。
「今、病気じゃないから」と思っても、性格によってゴミ屋敷を作ってしまう可能性はあると思っておきましょう。
それでは最後に、病気が原因でゴミ屋敷化が進んでしまった場合の解決法を紹介します。
ゴミ屋敷を脱却するには、以下の方法を実践してみましょう。
・心療内科、精神科の病院を受診する
・信頼できる人に相談する
・清掃業者を利用する
順番に紹介してきます。
心の病気が原因だった場合、まずは心療内科や精神科の病院を受診しましょう。
受診することで、病気の特定につながり、それが病気の治療につながるからです。
心の病気に関しては、完治することは難しいと言われているものが多いですが、薬や認知行動療法などで症状を少しずつ押さえていくことはできます。
とくに本人は「自分は病気だ」と自覚しているケースはほとんどありませんので、周囲の人の協力が必須です。
次は、信頼できる人に相談することです。
家族でも友人でも、誰でもかまいません。
信頼できる人に病気を打ち明けることで、「孤独感」から解放されやすくなります。
他にも、理解者がいることで「自分はダメな人間だ」と自分を責める気持ちも少しずつ減っていきます。
何よりも、本人自身が「治す」という気持ちになることが大切です。
最後は、清掃業者を利用すること。
心の病気にかかっている方の中には、気力がわかず、部屋を片付けることができないというケースが多いです。
ただ、部屋が散らかっていることで、さらに自己嫌悪してしまうこともあります。
自分でも「片付けた方が良い」と思っているのにできなかったり、ものが多すぎて家族や友人が手伝ってくれるとなっても対応し切れない場合は、清掃業者に依頼するのも一つの手です。
ものの分別や不用品の処分まで、丸ごとお願いできるので、体や心のストレスが格段に少なくなります。
何より、掃除のプロに任せることで、安心感も得られるはずです。
ゴミ屋敷の原因になりうる病気やそれぞれの特徴、ゴミ屋敷からの脱却方法について紹介してきました。
ゴミ屋敷を作る原因は、性格だけでなく、心の病気が関係していることも多いです。
病気を解明せずにただ部屋を綺麗にしても、再びゴミ屋敷になってしまうこともあります。
まずは病院で受診をして、治療やサポートを受けましょう。
ご自身だけで片付けるのが難しい場合は、どうか一人で抱え込まず、掃除のプロである清掃業者を利用してくださいね。
この記事があなたの参考になりますよう、お祈りしています。
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