COLUMN
周囲を困らせてしまうほど、ものにあふれているゴミ屋敷。
「少しものが多い」という程度ではなく、周囲が心配するほどものにあふれている状態は、心理的な病気が関わっていることもあります。
その病気の一つが強迫性障害です。
この記事では、ゴミ屋敷と強迫性障害の関係について解説。
症状の特徴や治療法に加えて、ゴミ屋敷から脱却する方法も紹介します。
ぜひ参考になさってください。
目次
強迫性障害とは、精神障害の一つです。
自分でも「意味がないことだ」と分かっていても、不安が頭から離れず、不合理な行為をくり返してしまいます。
大きな特徴として、強迫観念と強迫行為の2つが現れます。
・強迫観念:意思に反して頭に浮かんできてしまい、払いのけることができない考え
・強迫行為:強迫観念で生まれた不安にかき立てられて、ある行為をしないではいられなくなること
分かりやすく言うと、心配性や神経質、潔癖症のような症状が多いです。
・小さなことでも気になってしまう
・何回同じ確認をしても、不安をぬぐえない
・確認が多く、外出するまでに時間がかかり、遅れてしまう
・意思に反して、ネガティブな想像が止まらない
・手を洗ったのに汚れが気になって、また洗い直してしまう
・決まって順序でものごとを行わないと、良くないことが起こると思ってしまう
病気の原因は、はっきりとは分かっていません。
幼少期の育ち方や環境、心理的にショックな経験やストレス、感染症などたくさんの要因が関係していると言われています。
ただし、「強迫性障害だから、必ずゴミ屋敷になる」というわけではありません。
強迫性障害でもゴミ屋敷にならない方ももちろんいらっしゃいます。
ではどんな症状になると、ゴミ屋敷になってしまうのでしょうか。
強迫性障害の症状の一つに、確認強迫というものがあります。
先ほど紹介したように、「確認しないと」という不安に襲われて、何度も確認するというものです。
この確認強迫が顕著に強くなると、ゴミ屋敷につながる可能性があります。
ゴミに関して確認強迫が働くと、例えば次のような症状が現れます。
・「ゴミ箱に、重要な書類を捨ててしまったのでは?」「自分の大切なものを勝手に家族が捨ててしまってるのではないか?」と考えてしまう。
→この不安から、ゴミ箱を何度も確認してしまう。最終的に、ものが捨てられなくなる。
中には、ゴミステーションや集積所に行って、確認してしまう方もいらっしゃいます。
ご本人は不安が高まり、恐怖すら感じているため、ご自身の意志の力でコントロールできるものではありません。
この確認強迫によって、ゴミ屋敷につながることがあります。
もう一つが保存強迫というものです。
「ためこみ症」とも言われています。
今までは強迫性障害の一種と言われていましたが、2013年に強迫性障害とは別の病気として定義されました(強迫関連障害)。
少し似ているのでこちらで紹介しますが、今は別の病気とされているという前提でお読みください。
ためこみ症とは、自分が好きな本や服などを必要以上に集めているのに捨てられないというものです。
大きな特徴として、次の3つがあります。
・ものを大量に集める
・整理整頓ができない
・捨てられない
集めるものは人によって、さまざま。
ものに愛着を強く持つため、手放すことに苦痛を感じてしまい、捨てられずゴミ屋敷化してしまいます。
ここまで読んで「もしかしたら強迫性障害かも」「ためこみ症かも」と思ったかもしれませんね。
もし、自分や家族の症状に似ていると思っても、まずは病院で診断を仰いでください。
というのも、「ためこむ」という行動だけでは、本当に心の病気なのか判断は難しいからです。
例えば、認知症や脳の損傷(脳出血の後遺症など)、うつ病や統合失調症などその他の精神疾患にも「ためこむ」という症状が現れることもあります。
病気以外にも、発達障害が原因であることもあります。
複数の要因が絡み合っていることもあるので、単に「ためこむ」というだけでは、特定ができません。
そのため、専門家に診断することが大切なのです。
ゴミ屋敷の原因になりうる他の病気について詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。
ゴミ屋敷の原因になりうる病気とは?治療法やゴミ屋敷から脱却する方法をご紹介
ゴミ屋敷の原因になりうる強迫性障害の特徴や、「強迫性障害かも」と思ったときに、まずしてほしいことを紹介してきました。
最後に、強迫性障害が原因でゴミ屋敷になってしまったときの治療法と、ゴミ屋敷からの脱却方法を紹介します。
先ほど紹介したように、強迫性障害を疑ったら、まずは心療内科や精神科を受診しましょう。
その後、強迫性障害と診断されたら治療が始まります。
原因がはっきりと分かっていない病気ではありますが、「症状が続く理由」「症状の悪化に影響を与える要素」については解明が進んでいるため、しっかり治療に取り組めば治すことも可能です。
強迫性障害の治療には、基本的に以下の2つが組み合わされます。
・薬物療法
・認知行動療法(カウンセリングなど)
ただし、ゴミ屋敷に住むご本人が症状を自覚して、自分から治療を受けにいくというケースはあまりありません。
そのため、ご家族やご友人たちなど周りのサポートが不可欠です。
病院に促しても、精神科に行くことを恥ずかしいと感じる人もいらっしゃいます。
周りの方は理解者として、じっくり寄り添ってあげてください。
精神疾患は「薬を飲んだから治る」「病院に行ったから大丈夫」というわけではありません。
また、すぐに治るというわけではないので、時間をかけてゆっくり前に進むように心がけましょう。
ご本人が「部屋を片付ける」と決めても、ものが多すぎて、身近な人だけで対処するのが難しいというケースもよくあります。
その場合は、掃除のプロである清掃業者の助けを借りてみてください。
清掃業者なら、ものの仕分けだけでなく、不用品の処分や掃除まで丸ごとお任せできます。
お金はかかるけれども、仕分けや不用品の処分方法を調べたり、処分施設まで運ぶなどのストレスがかかりません。
ものが多くてお困りの方は、ぜひ相談してみてください。
ゴミ屋敷と強迫性障害の関係性や、強迫性障害の特徴、治療法、さらにゴミ屋敷から脱却するための方法について紹介してきました。
強迫性障害だからと言って、必ずゴミ屋敷になるわけではありません。
もし、自分や家族が強迫性障害かもと思ったら、まずは病院で診断を仰ぎましょう。
心の病気の治療は一人だけで悩まず、周りの人と協力して時間かけて取り組むことが大切です。
少しずつ、ものを手放せそうになってきたら、部屋の片付けにも取り組みましょう。
ものが多すぎて、自分達だけでは難しい場合は、清掃業者にも相談してみてくださいね。
この記事があなたの参考になれば幸いです。
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